コロナウイルスに関して言えば、私たちは皆、不確実性と共存することを学んでいます。北半球で夏から秋へと移り変わる2021年後半、新型コロナウィルスのパンデミックは収束に向かい始めたかのように思えました。しかし、2021年11月、アフリカ南部で急速に広がる感染力の強い亜種「オミクロン」についての報告が出始めました。
商品コンテンツ・シンジケーションが
重要な理由
突如として、外出を増やして街や中心部に出かけて社交やショッピングを楽しむという計画をあきらめざるをえなくなったのです。ビジネスの観点からは、クリスマス前に消費者を店頭に呼び戻したいと考えていた実店舗を持つ小売業者やブランドにとって、特に悪いニュースとなりました。
しかし、一歩引いて考えてみると、小売業が現在進行形で変化しているという点で、果たしてどれほどの変化をもたらしたのでしょうか。パンデミックに関するビジネスの決まり文句のひとつに、Eコマースを推進したというものがあります。それは事実です。しかし、別の見方をすると、パンデミックによってオムニチャネル化という既存のトレンドがさらに深まったと考えることもできます。
これにより、企業は商品データと商品コンテンツを管理・監督する必要がでてきました。つまり、パンデミックがもたらす消費者行動の急激な変化に、より適切に対応しなくてはならなくなったのです。
オムニチャネル・リテールとは
多くの流行語がそうであるように、オムニチャネルの意味も人によって異なります。ここでは、カスタマージャーニーが1つのチャネルに限定されず、複数のチャネルを横断する小売業と定義します。例えば、実店舗で購入する前に、オンラインでリサーチを行う。あるいは、格安価格では販売していないような競合他社の店舗に立ち寄りつつも、モバイルを使ってクリック&コレクトで購入する、といった具合です。
オムニチャネルでの行動に関する無数の例から今後を見据えると、小売業者とブランドにとって重要なポイントは、この新しいビジネス風景に適応しなくてはならない、ということです。実際、2024年に世界のEコマース売上が6兆3,880億ドルに達するという予測1を考えるときに、この数字を、さらに大きなオムニチャネル全体の数字の一部分と捉えることもできます。
そのため、ブランドや小売業者は、単にEコマースチャネルを最適化するだけでなく、複数のタッチポイントで商品がどのように見えるかを考慮する必要があります。タッチポイントには、ショッパブル広告、ライブストリーム・イベント、マーケットプレイスなどが含まれます。そのためには、商品情報(詳細説明、画像、動画、評価、レビュー)を簡単に、効率的に、頻繁に、しかも既知の基準や要件に準拠しながら配信できるようにしなければならないのです。
これが商品コンテンツ シンジケーションと呼ばれているもので、複数のチャネルで商品情報を効率的に同期させることを指しています。
商品コンテンツ・シンジケーションの落とし穴
商品コンテンツ シンジケーションを正確に行うのは容易ではありません。手動で行う場合はなおさらです。その理由は次の通りです。
- Eコマース・プラットフォームやマーケットプレイスによって、必要とされるデータの形式や使用方法が異なり、特定の要件がある
- 商品コンテンツの検証は、手作業でやると非常に時間がかかる
- 商品情報を複数のチャネルで更新・維持する必要がある
- 手動更新を行うためにスタッフを雇うのは費用対効果に合わない
こうした手作業は、次のような結果になりがちです。
- 商品の市場投入の遅れ
- 一貫性のない、間違った、または古い商品コンテンツを買い物客が見たことによる風評被害
- 市場機会の逸失
- コンプライアンス違反でマーケットプレイスから拒否される可能性
どうしたら小売業者やブランドは、商品コンテンツ・ シンジケーションを改善できるのか?
より良い戦略は、プロセスの自動化から始まります。自動化を行うと、商品コンテンツ シンジケーションで以下のことが可能になります。
- 商品情報の変換:さまざまなEコマース・プラットフォームに商品情報を公開するには、フォーマットやスタイルなどの要件に適合するよう商品データを変換する必要があります。これらの要件はEコマース・プラットフォームごとに異なるため、初歩的なマッピングの知識ではうまくいきません。自動コンテンツシンジケーターは、コンテンツをタクソノミーレベルでマッピングするアルゴリズムを採用しています。
- 複数チャネルに商品情報を自動配信:複数の販売チャネルへ自動で商品コンテンツをの共有します。これにより、すべての販売チャネルを簡単に最新に保つことができます。
- 最新の商品コンテンツを維持:一貫性のない、または古い商品情報は、売上を低下させ、ブランドの評判に悪影響を与えます。高品質で正確、かつ一貫性のある商品コンテンツを自動的に同期させることで、デジタルチャネルに常に正しい情報を提供することができます。
自動化の進め方
最初のステップは、商品情報管理(PIM)ソリューションを活用して、商品コンテンツを管理し、充実させることです。しかし、商品コンテンツをシステムからさまざまなチャネルにアップロードし、修正する方法も必要になります。
幸い、多くのEコマースベンダーがビジネスを混乱させることなくシンジケートする方法を提供しています。これらのEコマース プラットフォームの多くは、ソフトウェアベンダーと提携して、統合機能を開発しています。例えば、PIMベンダーはAPIを開発したり、独自のコネクタを作成したりして、ブランドや小売業者が必要なEコマース プラットフォームと統合し、最適な商品コンテンツや優れた商品体験を提供できるようにしています。 Magento(Adobe社)、BigCommerce、Oro Commerce、plentymarketsなどのEコマース プラットフォームは、このタイプの統合をサポートしています。
PIMシステムとEコマースプラットフォームを連携させるメリット
連携することで、ブランドや小売業者は以下のことが可能になります。
- 同期された商品データをさまざまなチャネルに自動配信する
- 複数のEコマースショップを簡単に管理できる
- 豊富で完全な最新データによる商品情報の最適化
- 一貫性のある魅力的なカスタマーエクスペリエンスを促進する
- 商品コンテンツ シンジケーションの取り組みを簡素化
- カゴ落ちや返品を最小限に抑える
これは、拡大し続けるオムニチャネルの世界にマッチするアプローチです。この世界では、小売業者やブランドは、多数の異なるチャネルで顧客体験を動的に最適化し、コストや時間の遅れを生じさせることなくこれを実現する必要があります。
商品コンテンツ シンジケーションを自動化する最後の理由は、チャネルを越えて消費者にアプローチすることで得られるリターンにあります。新型コロナウィルスの影響で顧客の行動が非常に不安定な現在では特に、です。3つ以上のチャネルを使用するマーケティング担当者は、シングルチャネルのキャンペーンを使用する場合よりも287%高い購入率を獲得し、オムニチャネルの顧客維持率はシングルチャネルに比べて90%高くなっています2。