データガバナンスの重要性
ガートナー社によると、データガバナンスとは、「データの評価、作成、使用、管理において適切な行動が行われるように決定権と説明責任の枠組みを規定すること」とされています。つまり、データガバナンスは、組織がデータを管理、活用、保護することを可能にすると同時に、関連する規制に準拠するよう支援するものです。
画像や動画とそれに対応する文字情報などのデジタルアセットも、当然ながらデータの一形態です。したがって、データガバナンスは、組織のデジタルアセット管理(DAM)戦略においても重要な要素となり、データが効率的かつ安全に管理され、組織の全体的な戦略と目的に沿ったものとなるよう統制します。
信頼できる唯一の情報源
デジタルアセットを管理する上で、データガバナンスはきわめて重要です。データ資産の作成、保存、共有、そして最終的な廃棄方法までを管理することで、データの正確性、完全性、一貫性をより確実に保つことができます。綿密に練られたデータガバナンスのフレームワークは、特定のアセットに関する役割を明確に定義し、組織全体で責任と説明責任が合意されていることを保証するため、戦略的、戦術的、運用的な役割と責任をカバーします。
データガバナンスが効いていることの最大のメリットが、デジタルアセットに対する組織の見方を一致させる、つまり共通の用語を提供できることにあります。アセットにタグを付ければすばやく簡単に識別・検索できるようになりますが、それぞれが自分の好きな名前でタグ付けしていたら、システムはすぐに崩壊し、アセットを探し出すことは事実上不可能になります。そのため、語彙、分類法、およびメタデータ標準が規定されたシステムを使い、すべてのアセットが一貫性をもってタグ付けされるよう、ガバナンスが必要になるのです。
データガバナンス戦略では、アセットの保存方法も規定します。「信頼できる唯一の情報源」を確立することで、例えば、異なるバージョンのデータを配布してしまうことによるエラーのリスクを最小限に抑えることができますし、データマップがあればとても役に立ちます。ステークホルダー全員が主要なアセットの全体を把握できるようになれば、アセットの正確な場所や目的を一貫して理解することができ、もっと容易に活用して測定できるビジネス成果につながるでしょう。
さらに、アセットとそれに付随する情報を簡単に見つけすぐにアクセスできるようにしておくことは、コンプライアンスの報告スピードと利便性の大幅な改善につながるなど、デジタルアセットを使用するすべての内部プロセスを最適化します。
データ管理とデータ品質
デジタルアセットは単独で存在しているわけではありません。そのため、ライフサイクルを通してどのように使用し、管理するかを決定するためには大量のデータが必要になります。しかし、管理方法がはっきりしていて一貫性がなければ、こうしたアセットとそれに付随するデータは使いものにならないのも事実です。
データガバナンス戦略に基づいて、タグ付けのルールやユーザーの権限設定、保存場所、保存期間が決まります。行動規範やベストプラクティスを確立し、法務、セキュリティ、コンプライアンスなどの分野における懸念事項に一貫して対処できるようにすることも、データガバナンスが組織のデータ管理を大きく改善する点の一つです。しかし、データガバナンスの実装は必ずしも容易ではありません。
優れたDAMシステムは、すべてのデジタルアセットを保存・管理するための適切なツールであるという点で、組織全体のデータガバナンスを効果的に実現するうえで大きな役割を果たします。さらに、DAMシステムを導入することで、デジタルアセットのデータの正確性、完全性、および一貫性を保証し、その品質を大幅に向上させます。
DAMシステムを活用して、デジタルアセットに組織全体のデータガバナンスルールとポリシーを適用すれば、これらのアセットがどのように扱われ、保存、使用、廃棄されるかが明確になり、組織全体の「信頼できる唯一の情報源」として機能する情報リポジトリが出来上がります。
データガバナンス戦略を実装することで、どのようなアセットがどこにあるのか、誰がどのようにアクセスしているのかを常に正確に把握することができ、デジタルアセットから真の価値を得ることにつながります。