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購買体験は価格と品質に勝る

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Tech Leaders' Voice Vol.8: 購買体験は価格と品質に勝る

お客様の購買意欲を高めるには、良い商品と適正な価格、そして何よりも優れた購買体験の3つの要素が不可欠です。このことを理解し、すべての販売チャネルで購買体験を統合した企業は、より多くのトラフィック、高いコンバージョン率、かご落ちの減少という成果を得ることができます。

ガートナーによると、そうした企業は競合他社の2倍のスピードで成長しています。エクスペリエンス・エコノミー(経験経済)という言葉をご存じの方は多いと思いますが、営業プロセスに導入されている企業はまだそう多くないのではないでしょうか。

今回は、Contentserv Group CEOであるMichael Kuglerに、優れた購買体験を実現するための視点について語っていただきました。

顧客は矛盾した存在です。ある面では、常に時間的な制約を受けています。セルフサービスを好む傾向があり、近所の店舗でも、オンラインで購入する場合でもセルフサービスが好まれます。そのため、Eコマース・プラットフォームは、セルフサービスと速達または当日配達のオプションを提供すべきです。宅配サービスが、より速いレスポンスタイムで互いにしのぎを削っていることからも、多くの点で、時間は新しい通貨だと言えるでしょう。

しかし、だからといって時間がすべての物事の尺度ではありません。物理学者だけでなくお客さまにとっても、時間は相対的なものです。自分の時間が十分に投資されたと思えば、途端に急ぐ気持ちはなくなります。ミルクを入れただけのコーヒーよりも、バリスタが作るラテ・マキアートが、多くのお客さんにとってずっと価値があるのは、そういうことなのです。つまり、時間を削るのではなく、目的のある行動、娯楽、楽しみ、感動など、適切な方法で時間を満たすことが重要なのです。

顧客はブランドではなく、体験を大切にしている

現在の市場調査によると、顧客の7人に6人は、より良い購買体験のためにより多くのお金を払ってかまわないと考えています。ブランド・ロイヤリティは、今や「エクスペリエンス・ロイヤリティ」に取って代わられているのです。これこそが、顧客がリピーターとなって戻ってくる理由であり、ブランドを他の人に薦めたくなる理由なのです。

しかも、これはB2C市場に限ったことではありません。B2B分野でも、商品の品質や価格と同様に、シームレスな購買プロセスや快適なビジネス環境が重視されるようになっています。実際、B2Bの顧客の約80%が、よりパーソナライズされた購買体験を提供するサプライヤーがあれば、そのサプライヤーに乗り換えると答え、2人に1人は探しているものをより早く見つけるためにもっとお金を払うと答えています。

購買体験 vs 顧客体験

購買体験は、市場の力学を大きく変えるゲームチェンジャーです。

これはどういうことでしょうか?購買体験は、エクスペリエンス・エコノミーのもうひとつの流行語である顧客体験(CX:カスタマー・エクスペリエンス)としばしば間違われますが、後者は購入する人を指すのに対し、前者は購買プロセス全体を表しています。

その大きな違いは、CXは定義上、既存の顧客を対象としているのに対し、購買体験は主に見込み客に焦点を当てている点です。ここで、購買プロセスが始まるか、単なる興味にとどまるかが決まります。購買プロセスにおける摩擦、一貫性のない情報、パーソナライゼーションの欠如はかご落ちにつながりやすく、顧客は二度と戻ってこなくなります。「良い」第一印象を持ってもらうチャンスは二度とないのです。

優れた購買体験はどのようにして生まれるのか?

では、摩擦のないポジティブな購買体験を実現するためには、何が必要なのでしょうか。ここでは、検討すべきキーワードをいくつか紹介します。

  • パーソナライゼーション:顧客は人として認識されることを望んでいます。ブランドは、彼らが自分のニーズにぴったり合った商品を見つけられるように、できれば彼ら自身がまだ気づいていない商品をも見つけられるようにサポートする必要があります。
  • 関連性:ほとんどの顧客は、購買プロセスに参加することに前向きです。しかし、何度も同じ情報を入力したり、不必要なプロセスを経たりして時間を浪費することは望んでいません。
  • コンテクスチュアライゼーション(文脈の理解):顧客とのインタラクションは、それぞれの要件に正確に合わせ、購買プロセスの各段階の文脈に即したものでなくてはなりません。 購入の意思決定をするために、顧客は適切なタイミングで適切な情報を必要としています。
  • クロスチャネルでの一貫性:オンライン、店舗、電話で異なる情報を受け取った人は、混乱し、イライラすることさえあります。一貫性のないコンテンツは、さらなる質問につながり、摩擦を引き起こします。
  • 心地よい驚き:「満足」も良いですが、「感動」はさらに良いです。新しい顧客を獲得するのは、期待以上のことをした人たちです。良い営業チームは、お客様がまだ気づいていないだけで、実はずっと欲しかった商品に出会えるよう導きます。

同じものがより多くあれば良いというものではない

Greg Linden、Brent Smith、Jeremy Yorkの3人が、後にアマゾンの「レコメンデーション・エンジン」となるものを設計したとき、つまり20年以上も前に、パーソナライズされたオンライン販売手法の最初の実用化アイデアが生まれました。しかし、このエンジンがおすすめするものは、かなり一般的なものでした。「同じものをより多く」という原則に基づくものだったのです。でも、ショッピングカートに新しい電動マウンテンバイクを入れていたら、おそらくもう1台は必要ないでしょう。

従来型のレコメンデーション・エンジンは、現在でも限られたパラメータで動作しており、すでに購入した商品や、過去に閲覧した商品を勧めます。また、単にベストセラーの商品や在庫処分の商品を勧めることもあります。潜在顧客が実際に何を求めているか、オンラインショップにとってはまるで重要ではないようにさえ見えます。しかし、優れた購買体験は違います。ブランドは、顧客のニーズに対応するためにより豊富で適切な、一貫した情報を提供する必要があります。

PIM - ポジティブな第一印象とシームレスな購買体験への扉を開く

成功する購買体験の鍵は、商品データと顧客が様々なチャネルで提供する彼らについての情報をシームレスに統合することにあります。例えば、顧客を理解し、その顧客がアルプスでトレイルランニングをするのが好きだと知っている販売員は、バイヤーズ・ジャーニーでその話をするでしょう。現代のオムニチャネル・リテーリングにおいて、優れた購買体験で得点を稼ぐには、すべてのチャネルで一貫した商品データが必要なのです。

つまり、ウェブストアでも、実店舗やカスタマーサービスとの電話と同じ商品情報を提供しなくてはなりません。商品情報管理(PIMは、今日すでにこれを実現しています。PIMシステムは、ERPシステムからオンラインストアまで、バリューチェーン全体におけるすべての商品データを一元管理する場所です。したがって、顧客とのインタラクションの前後に起こるすべてのことに適用されます。

PIMERPや商品管理システム(MMS)と統合されていれば、例えば、ウェブストアで対応する検索クエリを行って、結果がページに表示される前に商品が入手可能かどうかを知ることができます。また、PIM内の商品データは、お客様が簡単に検索できるよう、検索エンジン向けに最適化(SEO)されている必要があります。そうすることで、特にオンラインショップがメーカーのPIMからデータを受け取る場合に、継続的なオペレーションが簡素化され、トラフィックを生み出すことができます。

お客様が神様なら、コンテンツも神様

高機能なPIMは、基本的な顧客情報さえも、より詳細でモジュール化された商品情報と統合することで、パーソナライゼーションとコンテクスト化の触媒として機能します。優れたPIMは、様々な文脈やチャネルで、それぞれのユーザー向けにリアルタイムで商品情報を適応させることができます。

PIMには、商品情報だけでなく、顧客や文脈に応じたコンテンツも含めることができます。むしろ、そうする必要があります。しかし、多くの場合、お勧めを掲載する商品ページは、関心のある大まかなカテゴリーに寄りすぎています。「すでにxを買っているから...」や「他のお客様がyを買っているから...」といった古典的な条件は、あまり有用なパーソナライズ戦略とは言えません。効果的な商品ページでは、お客様がすでにカートに入れた商品を表示するのではなく、カートに入る可能性のある商品を表示します。例えば、あるお客様がトレッキングポールを購入したとき、更に別のトレッキングポールを勧めるのではなく、次の夏のハイキングで使えるスポーツサングラスを紹介した方がより関連性が高いのではないでしょうか。

購入履歴だけでレコメンドしていては、チャンスを逃しています。だからこそ、お客様がすでに持っているものではなく、まだ持っていないけれども欲しいものを提供しましょう。

あなたのブランドやオンラインストア、商品と関わっているお客様は、実は自分の興味や好み、特定のニーズに関する情報を提供している可能性が高いのです。これらは、次の購買体験を顧客のニーズに合わせてより正確に調整するためのこの上ない条件となります。

最初の一歩は、顧客ではなく、サプライヤーが踏み出さなければなりません。企業は、「エクスペリエンス・ファースト」の考え方で営業プロセスに取り組むべきです。すべての人が、ある時点では顧客となります。ですから、すべてのブランドは、自分たちのオーディエンスを知り、見込み客が自ら常連客になるために何が必要かを考えなくてはならないのです。

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