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カスタムビジネスにおける
PIMの役割

カスタムビジネスの落とし穴を見極め成功を掴む方法

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カスタムビジネスにおけるPIMの役割

現在、多くの企業が新たな価値創造やビジネスモデルの変革、顧客ニーズへの対応を目指し、自社製品のカスタム化を検討しています。このような顧客のニーズに合わせて製品をカスタマイズできるサービスを提供することをカスタムビジネスと言います。本記事では、カスタムビジネスの利点や乗り越えるべき課題について紹介します

目次

  1. カスタムビジネス増加の背景
  2. カスタムビジネスの歴史と未来
  3. カスタムビジネスのメリット
  4. 販売と製造の両面における課題
    
    

1. カスタムビジネス増加の背景

パーソナライゼーションやOne to Oneマーケティングなどのキーワードは、もはやマーケティングの文脈では特別なものではなくなってきています。顧客はより自分のニーズに合う商品を求め、市場に並ぶ商品の種類は50年前の5倍以上に増えています。一方で、テクノロジーの発展や製造業のDXにより、商品レベルでのパーソナライゼーションを実現することも容易になってきました。 

2. カスタムビジネスの歴史と未来

カスタムビジネスの起源は諸説ありますが、1970年代にはファストフード業界でハンバーガーやサンドイッチのカスタム化が試みられていました。日本では、1980年代にパナソニックサイクルテックが自転車のカスタム受注を始め、これがBTO(Build to Order)の先駆けとされています。

その後、P&Gやリーバイスなど多くの大企業もカスタムビジネスに参入しましたが、成功例は限られていました。しかし、インターネットの発展によりカスタムビジネスのハードルは下がり、新興企業だけでなく従来の製造業もシフトしています。 

 今後、カスタムビジネスの傾向はさらに加速すると予想されます。企業によってはすでに取り組んでいる場合もあれば、検討段階の企業もあるでしょう。カスタムビジネスの特性やメリットを捉えるのは難しいかもしれませんが、具体的な情報を得ることで戦略立案に役立てることができます。 

3. カスタムビジネスのメリット

ここでは、カスタムビジネスが標準品を扱うビジネスに対して持つ優位性について整理します。 

例として、ある測定器メーカーがビジネスモデルの変革を目指して、ポータブルデータロガーのカスタマイズサービスを開始した事例を紹介します。このサービスでは、温度や電圧・抵抗・ひずみなどの基本的な測定対象から必要なチャネル数を選択し、ユーザーが自分の用途に合ったモデルをカスタマイズできます。さらに、学生やDIY・電子工作を趣味とする一般ユーザーも取り込むため、カラーバリエーションの選択も可能にしました。 

従来はこのようなシンプルで低価格な製品は販売代理店を介した取引が一般的でしたが、この製品では自社のウェブ上でコンフィギュレーターを用意し、直接販売(D2C)を行っています。 

顧客にとっては、既定の仕様だと自分の用途に不足があったり、余計な機能がついているため割高に感じることがありましたが、カスタマイズサービスにより、これらの不満を解消できる点でメリットがあります。また、カラーバリエーションはホビーユーザー、ビジネスユーザーを問わず好評であり、デザインコンセプトが希薄なジャンルにおいてもブランド確立につながっています。 

企業側としては、商品の競争力向上や直接販売による流通マージン削減がありました。さらに、直接的なユーザーニーズの把握やフィードバックが得られる機会の増加、顧客ロイヤリティの向上も大きな効果として挙げられます。成功を収めた結果、より利益率の高い製品ラインナップでカスタム要素を展開しており、顧客の要件に合わせたコスト最適化や省スペース化を可能にし、大型案件の成約率向上を図っています。 

 これらが一般的にカスタムビジネスが持つ「メリット」ですが、成功には標準品を生産販売する従来のビジネスとの特性の違いを理解する必要があります。商品開発における技術的な制約や課題をクリアするだけではなく、マーケティングや販売、製造現場における課題にも適切に対処することが必要です。新技術の普及を活用しながら、標準品のビジネスモデルを踏襲せずに進化させることが成功へのカギとなります。 

4. 販売と製造の両面における課題

次に、販売と製造の両面における課題について整理します。 

販売の課題

カスタムビジネスは競争力や利益率、顧客のロイヤリティを高めるポテンシャルを秘めていますが、顧客の購買体験においてリスクとなる要素が主に次の3つです。 

1. 構成の負荷が増えること

製品の仕様を決定する過程は、標準品の場合、企業側が負担する工数であり、一定の知識や労力を必要とします。適度に顧客に負担を求めることで、製品への納得感や愛着を促し、売上や顧客満足につながりますが、そのバランスを誤ると逆に顧客を遠ざけてしまう可能性があります。例えば、サブウェイでトッピングからドレッシングまで自分なりにアレンジすることはエネルギーを必要としますが、ビジネス上の購買では経験豊富な担当者でさえ労力を要する選定作業があり、顧客に選択肢が多すぎると逆に遠ざけることもあります。ウェブ上で製品構成に関する専門的な判断を顧客に丸投げするのは得策ではありません。 

2. 製品構成ミスのリスク

顧客の要求に合わせて製品を提供する際、適切でない製品を提供してしまうリスクを最小限に抑える必要があります。時間をかけて決めた最適なモデルが実際には要求を満たしていなかったり、用途や好みに合わないものになってしまったりすることがあります。このようなミスは顧客の満足度やブランドへのロイヤリティに悪影響を及ぼすことがあります。顧客が選定に必要な情報が不足していたり、情報の複雑さが原因で起こることもあります。 

3. 販売の難易度があがること

カスタム商品の増加により、商品情報の複雑さやボリュームが増大します。これに適切に対処するためには、効果的な商品情報の管理や共有体制を整える必要があります。カスタムモデルが一部の担当者しか扱えない状況では、販売機会の損失が生じる可能性があります。 

これらの課題の多くは、商品の情報が顧客に対して正確かつ適切に伝わらないこと、そして、そのギャップを埋める仕組みが不足していることから発生します。商品情報が正確に伝わらないリスクは、標準品よりも大きいことがあります。これらの課題に対処するためには、効果的な情報伝達と顧客サポート体制の強化が必要となります。 

商品情報管理(PIM)を活用することで、企業内のさまざまな部門の担当者が最新で正確な情報にアクセスし、迅速に販売チャネルで展開することが可能となります。これにより、商品情報の管理、共有、展開における生産性やデータ品質の向上、商品の市場投入時間の短縮、そして顧客体験の向上を実現できます。

販売課題の解決例

これらの課題に対して、いくつかの解決策があります。まず、顧客の負担を減らすためにスタートポイントとなるモデルを用意することが重要です。その後、顧客からのフィードバックによって適宜増やしたり調整したりしていくことが必要です。目的別・シチュエーション別のマーケティングメッセージをわかりやすく打ち出し、顧客が製品構成にかける負荷をできるだけ減らしてあげることが役立ちます。 

また、カラーバリエーションや形状も含め、製品のスペックが何を意味するのかを、単なる技術仕様をそのまま提示するのではなく、顧客が選択しやすい内容に翻訳して提示する必要があります。さらに、画像や動画などを充実させ、イメージギャップを取り除くことも効果的です。 

カスタムビジネスにおいては、標準品以上に製品の価値や「なぜその製品が顧客にとって適切なのか」をしっかりと伝えることが成功の鍵となります。 

さらに、最適なモデルを決定するためのスタッフへのサポート体制も欠かせません。顧客満足度を向上させ、返品を減らすためには、カスタマーサポートや営業担当者、マーケティングやプロモーションの担当者、そして販売代理店やウェブ担当者が、複雑化し増大したマーケティング情報を正確に、一貫性のある形で活用できるようにすることが重要です。これにより、顧客を適切にガイドし、ミスマッチを防ぐことができます。 

そして、これまで見てきたようなカスタムビジネスにおける落とし穴は、マーケティングや販売側だけに存在するわけではありません。製造側においても、顧客の要求に合った製品を提供するための生産プロセスや品質管理の改善が不可欠です。カスタムビジネスを成功させるためには、全てのプロセスにおいて顧客のニーズに対応する体制を整えることが必要です。

製造の課題

次は製造側に目を向けましょう。カスタムモデルは標準品の生産に比べて複雑度が非常に高くなることが当然です。 

多品種少量生産の製品ラインナップを揃え、カスタム品製造のキャパシティを備えている企業は多くありますが、その実現性を検討する中で、標準品よりも生産が著しく非効率になる、納期管理が非常に難しくなり、極端に長くなるなどの壁が立ちはだかることは珍しくありません。 

マニュアルオペレーションやデータの不整合が残ったままカスタムビジネスを進めてしまうと、現場への負担が増えて歪みが生まれる可能性があります。詳細仕様、仕向先・生産拠点ごとのBOM(Bills of Materials: 部品表)の都度作成、複雑化による間違いの増加、マスター間の不整合などにより手戻りが発生し、生産効率の低下や納期の長期化を招き、販売機会損失や顧客満足の低下につながることもあります。 

ただし、カスタムビジネスを始めるにあたって、膨大な量のBOMやマスタ情報を刷新し、ドラスティックなデータの統合や標準化を行うことは必ずしも正解とは限りません。製造業DX全体の視点からはいずれ必要な取り組みではありますが、費用や時間の面から見ると容易なことではありません。

ERPやPLM、生産系のシステムの刷新は、複数年がかりのプロジェクトとなってしまいますし、カスタムモデル専用のプロセスやシステムを別途構築し、その費用を製品価格に転嫁することは得策ではありません。一般的なカスタムモデルビジネスは、価格や納期の面でも既製品との競争力を求められます。完全なオーダーメイドビジネスは、型紙から作成するフルオーダーのスーツのように、吊るしのスーツの3倍以上の価格で、納期が一年でも許容されますが、パターンオーダーではそうはいきません。 

製造課題の解決例

そこで、製造体制の構築において、実現スピードとコストのバランスが中心課題となり、既存のリソースを十分活用しながらプロセスや情報の複雑化に対処する方法を模索することが現実的な解決策となっています。 

これまでベテランスタッフ・技術者に依存していたナレッジやルールを可視化することや、部門ごとに異なるBOMデータを統一する取り組み、また拠点ごとに異なる工程表やBOMを一元管理することが必要でしょう。 

「ものづくりのルール」を整理し活用することがカスタム製品の製造において重要です。 

また、カスタム製品において論理的に存在しうるすべての構成パターン、数万から数十万、ときには数百万といったモデルのすべてのBOMを登録し管理するのはかなり困難が伴います。動的なBOM生成を可能にして、データ量や工数を大幅に抑制することが前提条件となるでしょう。 

まとめ

以上、カスタムビジネスにおける販売・製造の課題とそれにいかに対処すべきかについて説明しました。 

 カスタムビジネスは従来の標準品を製造・販売していくのとはいくつかの点で異なる特性を持っています。それぞれに陥りやすい落とし穴があり、それを回避するためには、次の3点が重要と言えるでしょう。

  • 販売サイドにおいては、マーケティング・プロモーション情報の充実化・共有化が必要であり、製造サイドにおいてはBOMや生産データの合理化・省力化あるいは統一化が大きなベクトルとして求められます。
  • そして、これはどちらか片方だけではなく、製販両面での取り組みが必要となってきます。
  • また、この体制を立ち上げるためのスピードが非常に重要で、いかに既存のリソースをうまくレバレッジしながら、ビジネスを開始し、改善のサイクルを回していくのかが鍵となります。 

カスタムビジネスを推進する上で強力なエンジンとなるContentservのPIMソリューション、そして株式会社エクサが提供するマスターBOM生成エンジン、ESPBOMについて、ご質問やご要望がありましたら、お気軽にお問合せください。

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