消費者は、購入を決める時にも、よりパーソナルな体験を求めています。ブランドが提供するコンテンツよりも、他の人のお勧め情報の方を信頼するという消費者は 92%にも上ります。誇大広告を警戒する人が増える中、企業はユーザー生成コンテンツとインフルエンサーマーケティングの重要性と必要性に気づき始めました。
今や焦点は、ブランドが望んでいることではなく、消費者が期待していることに移りつつあります。 自社のオーディエンスにどのようにリーチしているでしょうか。また、オーディエンスからどのように見られているのでしょうか。
重要なのは信憑性です。消費者は、どのような商品であっても、それが自分のために作られたように感じたいと思っています。ただの購入者ではなく、特別な存在であると感じたいのです。
ユーザー生成コンテンツとは、ブランドの顧客がそのブランドについて自ら進んで作成したコンテンツのことです。ブランドでよい体験をした顧客は、自分のストーリーを仲間や同じ立場にある人と共有したいという気持ちが強くなります。このような顧客同士の紹介を活用するのが、顧客ベースを拡大する最も簡単で、かつ時間もコストも最小限で済む方法です。
ユーザー生成コンテンツは、ブランドの商品とサービスに関して以前に購入した顧客が発信する信憑性のある情報となります。これは長期的なリソースの節減につながるだけでなく、ブランドの信頼性も高めます。そのため、ユーザー生成コンテンツは、マーケティング担当者にとって、自社の商品を紹介する最もスケーラブルな方法の 1 つになっています。
要約: 優れた体験を提供して、顧客をブランドのアドボケイトにしましょう。アドボケイトが自分と同じ立場の人と共有するアドボケイト自身の個人的なコンテンツによって、ブランドの信憑性が高まり、最終的な収益が向上します。
Coca-Cola 社の取り組み
ユーザー生成コンテンツが売上を伸ばし、ブランドロイヤルティも向上させることをはっきりと示す例として、Coca-Cola 社の「Share a Coke」キャンペーンがあります。類を見ない試みとなったこのキャンペーンで同社は、ボトルや缶の Coke ブランドのロゴを、一般的な名前(呼称)に差し替えました。2014 年にオーストラリアでこのキャンペーンが初めて実施された時、名前付きのコカコーラのボトルと缶は、同国だけで 2 億 5,000 万本以上売れました。
コンセプトとしてはシンプルなものでしたが、それが功を奏しました。顧客はただ、自分が買った缶にある名前の人と「自分のコカコーラを共有」します。こうして、自分の名前が付いたコカコーラのボトルや缶を持った人々の何百万枚もの写真がさまざまなソーシャルメディアサイトに投稿されました。 このキャンペーンによって、Coca-Cola 社の顧客は、同社から 1 セントももらっていないのに、同社の宣伝をしたことになります。
18 才から 24 才のソーシャルメディアユーザーの 68% がソーシャルメディアで共有されている情報を検討材料にし、支持するブランドを決める際は信憑性を重視すると答えている人が 86% に上ることを考えれば、ユーザー生成コンテンツの影響力がいかに大きいかは明らかです。
顧客をアドボケイトに変える
活用できるユーザー生成コンテンツは何種類もあります。 必要なのは、コンテンツを作ろうという気持ちにさせるインセンティブを提供することです。インセンティブは、どのようなタイプのコンテンツが必要かによって変わります。
- 競争/ストーリーの共有 – 競争やストーリーの共有を促すと、コカコーラのキャンペーンのように、商品を使って自分自身のビデオや写真を撮ろうという気持ちを掻き立てることができます。
- 無料トライアル – 自社の Web サイト、あるいは顧客個人のブログやチャンネルで感想を述べてもらうことを条件に、商品やサービスの無料トライアルを提供することもできます。
- 報酬 – 自社の Web サイトに投稿されたブログにコメントしたり、共有した顧客には、報酬を提供することも考えられます。
- ハッシュタグキャンペーン – ハッシュタグを利用すると、自社のメッセージやキャンペーンにオーディエンスを引き込むことができます。このタイプのユーザー生成コンテンツでは、シンプルで覚えやすいハッシュタグを使うことで、コンテンツのフォロー、エンゲージメント、発信を促すことができます。
重要なポイント: 顧客の目には、ユーザー生成コンテンツは、偏りのない外部からの自発的な情報として映ります。このことが、ブランドの信憑性を高めることにつながります。
覚えておかなければならない最も重要なことは、共有に値するコンテンツを常に発信し続けるコミュニティの構築こそが目標であるという点です。共有に値するコンテンツとは、参加する人々をいい気分にさせ、他の人と共有しようという気にさせるもののことです。
たとえば、Pawstruck 社は、かわいい動物のユーザー生成コンテンツを集め、顧客のレビューと組み合わせました。その結果、同社の Facebook 広告は、クリックスルー率が通常より 30.3% 高くなりました。
Delta Airlines 社も 2018 年に同様のソーシャルメディアキャンペーンを始めています。このキャンペーンでは、同社の便で訪れた旅行先の写真を撮り、顧客自身の Instagram ページにハッシュタグ #SkyMilesLife または #DeltaMedallionLife を付けて投稿するよう顧客に働きかけました。Instagram で公開された写真はその後、Delta 社の Web サイトに掲載され、他の旅行者に次の旅行で訪れたいという気持ちを掻き立てるものとなりました。
このキャンペーンは成功を収めました。あまりの成功に、Delta Airlines 社は昨年 12 月に規約を更新し、前述のハッシュタグを使用してタグ付けしたすべてのユーザーは、Delta 社が現在と将来にわたって実施するあらゆるメディアキャンペーンにおいて、同社がその写真を永続的に使用することに同意するものとすると規定しました。これは、同社を保護するためだけに行われたわけではなく、そこには、Delta 社がユーザーの写真を使用する際に、撮影ユーザーの名前を必ず表示するよう徹底するという目的もありました。
考慮すべき戦略
ユーザー生成コンテンツを使って、自社の商品コンテンツを強化するのは、方法さえ正しければ実は難しくありません。以下に、考慮すべき戦略をいくつか挙げます。
1. ターゲットオーディエンスと関係の深いソーシャルメディアネットワークを選ぶ
オーディエンスを知り、オーディエンスがデジタル空間のどこにいるのかを把握する必要があります。また、潜在的なアドボケイトのうち、最も影響力を持つのは誰かを見極める必要があります。たとえば、顧客と映像を共有するのが「簡単だから」という理由だけで、流行に乗って Instagram にすぐに投稿することは避けましょう。ユーザー生成コンテンツを通じて、自社のビジネスに最も大きな影響を与えるソーシャルチャネルを見極めるようにします。
- Facebook – ブランドについてのビデオコンテンツやストーリーを共有するのに適しています。 口コミで広がる可能性が高いビデオの投稿に活用するとよいでしょう。
- Twitter – 視覚的な要素の強いユーザー生成コンテンツに非常に適しています。
- Instagram – ユーザー生成コンテンツのメディアとして、おそらく最も人気のあるネットワークでしょう。 顧客は、見た目に魅力的なコンテンツを楽しむだけでなく、ブランドとやり取りすることもできます。
- LinkedIn – プロフェッショナルとつながり、本格的なコンテンツをプロモーションするには、このプラットフォームを活用します。
上記のリストは、活用できるすべてのソーシャルメディアサイトを網羅しているわけではない点にご留意ください。
2. 具体的な目標を設定する
他のコンテンツ戦略と同様に、ユーザー生成コンテンツに関する計画でも、数値として測ることができる具体的かつ期限を定めた目標を設定する必要があります。たとえば、ブランドエンゲージメントを高める(投稿に対するコメント、いいね、共有の数)、コンバージョン率を上げる(レビューから実際の売上へのコンバージョン)、ブランドへの信頼を築く(ブランドに対する一般的な認識)、もっとユーザーに知ってもらう(自社の課題の追跡調査)などが考えられます。
3.コラボレーションに焦点を当てる
ユーザー生成コンテンツを活用する目的は信頼の確立です。コミュニティを構築することに重点を置きましょう。アドボケイトの質問に答え、きちんと評価するなど、アドボケイトを大事にします。また、投稿を行ったり、写真を共有している撮影者やインフルエンサーの功績を評価することも、忘れてはならない極めて重要なポイントです。
ユーザーのコンテンツを共有する場合は、どのようコンテンツであっても、ユーザーの同意が得られているかを必ず前もって確認します。支払いや事前の同意なしに、ユーザーの労力の成果を勝手に使用してはなりません。自社のキャンペーンに投稿されたあらゆるコンテンツに対して保有する権利と、販促用の無料サンプルに関する制限の 2 点については、法律顧問に相談するのが賢明です。
4. 取り組みを分析し、数値化する
ユーザー生成コンテンツに関する取り組みがうまくいっているかどうかを正確に判断するには、取り組みを数値化する必要があります。さまざまなソーシャルメディア分析ツールを使用して、エンゲージメント全体を追跡調査しましょう。
パーソナルな体験を強化する
顧客のアドボカシー(支持・支援)の獲得は、オーガニックリーチを広げるためのアプローチの 1 つです。顧客とそのフォロワーを活用できれば、マーケティング目標をより効果的に達成できます。しかし、何から始めればよいのでしょうか。
商品情報管理(PIM)ソリューションは、オンラインとオフラインの両方で顧客に向けたリッチなコンテンツを作成するための要です。PIM システムがあれば、商品データを一元的なリポジトリに統合することができ、データの非効率性を排除するとともに、どのチャネルを使っているユーザーにも一貫した体験を確実に届けることができます(携帯電話に表示される商品コンテンツと、Web サイトに表示される商品コンテンツが同じであるなど)。
何よりも重要なのは体験です。 顧客が求めているのは、シンプルでありながらパーソナライズされた体験です。コンテンツをどのように受け取るかも体験の一部です。
関連性がある、リッチで正確な商品情報を提供できている企業は、優れた顧客体験を提供していると言えます。これは、商品やサービスに満足して、好意的なレビューを書く可能性が高い顧客が増えることを意味します。正確な情報で商品を説明していれば、顧客は自分がどのようなものを購入しているのかをはっきりと認識できます。その結果、商品のサイズや形、色などが期待どおりではなかった、といったレビューが減り、品質や性能に焦点を当てた情報が顧客から発信されるようになります。
本記事では、ユーザー生成コンテンツを使って、商品コンテンツを強化する重要性について解説しました。ユーザ生成コンテンツを含むリッチコンテンツの制作とあらゆるチャネルで展開するために不可欠なPIMとDAM活用について、お気軽にお問い合わせください。