マーケットリーダーに位置づけられている同社ですが、2020年7月にContentservを導入するまで、商品データの取り扱いについての決まった基準はありませんでした。社内に5つあるマーケティング部門は、自分たちで構築した構造を使うか、あるいは明確なシステムを持たずに業務を行っていました。その結果、多くの情報やアセットがローカルに、つまり担当者自身しかアクセスできない場所に保管されていることが多かったのです。
その結果、例えば社員が退職すると重要なデータも失われていました。また、広告物やプレゼン資料などを何度も作り直さなければならないため、会社にとって多大な損害と回避できるはずの無駄な追加費用が発生していました。
これが、現状を総合的に分析してプロセスと一般的なデータ品質の両面から共通規格を導入することによって、克服しなくてはならない重要な課題でした。また、デジタル化と自動化をより深く進めるためのツールとして、安定した基盤も構築されました。
特に、同社の非常に複雑なシステム環境を考慮すると、このステップは大きな挑戦でした。そのため、PIMソリューションへの期待も大きいものがありました。最終的に、Contentservはその機能面での多様性とシステムの柔軟性によって同社の信頼を勝ち得ることができました。PIMソリューションは、企業特有のニーズに的確に対応することができたので、何ら妥協する必要はなかったのです。
要件
Contentserv PIMソリューション導入の主要な目的は、VERFORA社に、将来的にすべての関連データを一元的に保管するための基盤(「信頼できる唯一の情報源」コンセプト)と、商品情報の取り扱いプロセスの最適化を提供することでした。
彼らが重視したのは、次のような要件です。
- すべての商品情報をPIMで一元的に保存・管理すること
- 効率性と高いデータ品質を確保するための標準化されたプロセスの確立
- わずか3クリックで必要なデータが見つかる直感的な検索機能
- 同じ時期に導入されたSAP社のERPシステムと密接に連携し、「リーディングシステム 」として機能すること
- 様々なウェブストア(はじめはGalenicaグループ内、後にパートナー企業のストアも含む)に直接接続できること
このビジネス変革の背景には、市場そのものだけでなく、どのような技術水準でどのように事業を展開するかという点において、VERFORA社のマーケットリーダーとしての地位をさらに高めるという重要な狙いがありました。
実装
導入パートナーであるStämpfli AGとの緊密な連携のもと、VERFORA社はContentserv PIM/DAMソリューションの導入に向け、幅広い準備を行いました。現状を詳細に分析し、既存のシステム状況の概要を作成しました。
そんな中、マーケティングサービス部門の責任者として Christoph Hüsemann氏がVERFORAに加わり、プロジェクトの取りまとめ役として重要な役割を担いました。経営陣のサポートを受けながら、彼のチームが自由に活動できたことは、決定的な強みとなりました。
こうして、集中的かつ効率的に切り替えを進めることができたのです。
実際の導入には1年以上かかりましたが、努力と忍耐はあらゆる面で報われました。Stämpfli AGは、VERFORAチームに新しいシステムを詳しく紹介するために、テーマを絞ったワークショップを開催しました。
集中的に意見交換を行うことで会社の仕事のやり方と目標にソフトウェアを効率的に適応させることができました。また、同時に導入した新しいERPシステムも、非常に明確な基準に基づいて設定されており、PIMとERPは互いに完璧に連携しています。さらに、関係するすべての従業員を、この包括的な企業文化の変革の一員として巻き込むことも重要でした。
新しいシステムの付加価値は、必ずしもすぐに目に見えるものではありません。しかし、ワークショップや社内コミュニケーションによって、最終的には本質的なメリットを効果的に伝え、同時にPIMがVERFORAの未来にもたらす大きな可能性を示すことができたのです。
導入効果
キックオフからおよそ2年、PIM導入後の成果は明らかです。明確に構造化されたリリースプロセスと、高品質を保証する「唯一の信頼できる情報源」としてのPIMソリューションの確立により、現在、約1,200の製品が登録され、その情報は強化されています。
この新しい業務フローによって、必要な商品情報にすぐにアクセスできるようになり、例えば、個々のテキストモジュールをさまざまな文脈で迅速かつ容易に利用できるようになりました。さらに、希望していた「3クリックのコンセプト」も実現しました。3つの簡単な入力で、従業員はどの製品についても必要な情報を見つけることができます。これは、過去のデータ損失を完全に克服したことを意味します。
また、広告宣伝物の制作においても、効率化とコスト削減が顕著に表れています。例えば、毎年発行される製品パンフレットの作成には、これまで2カ月ほどかかっており、全部署を横断したり、外部の代理店と連携したりして、大変な労力を費やしていました。新しいソフトウェアに投資し、それに対応するテンプレートを開発した後は、もはや外部からのサポートは必要なくなりました。所要時間には驚くばかりです。PIMソリューションで、製品パンフレットを完全自動で1分以内に作成できるようになりました。
一方、Christoph Hüsemann氏と彼のチームは、説得力のある成功をさらに拡大していくためのプロセスにすでに着手しています。結局のところ、システム移行は、デジタル化と自動化をさらに推し進める戦略の第一歩に過ぎません。PIMのポテンシャルはますます高まっており、フルに活用されはじめています。