2019年に注目すべき5つの顧客体験のトレンド

人はどこまでも人。つまり、人は感情の生き物で、どんな環境に住んでいようと、いくつになろうと、どう感じるかという体験が意思決定に影響します。これはどの業界にも共通する疑いのない事実で、過去5年間を見ても顧客体験はトレンドにおいて最も重要な要素として挙げられています。この傾向が近い将来消滅するような気配はなく、その証拠に、マーケティング担当者の実に81%が、今後数年間は顧客体験が唯一の競合分野になると答えています。

ここでは、2019年に新たに注目すべき顧客体験に関するトレンドについて検討していきます。

1. インサイトドリブン組織の台頭

データを収集・処理する技術は豊富に存在するものの、データから得たインサイトをビジネスに活用している組織はわずか10%です。しかしこの動向は変わりつつあり、2020年にはインサイトドリブン企業が1兆2,000億ドル相当の収益を上げると見込まれています。Forresterリサーチ社によると、こういった破壊的革新を生み出す企業にさらに対抗する企業には、顧客を獲得してサービスを提供し、維持するという明確な目標設定があります。その先駆的企業として挙げられるのが、GoogleやBaidu、Netflixです。

インサイトドリブン組織の主な能力:

  • インサイトの民主化 – インサイトデータベースを通じてインサイトを社内で利用できるようにするだけでなく、インサイトを迅速に伝えて、流通させる力。
  • 実験 – 継続的・反復的な学習のマインドセット。ビジネスの成長や将来性の確保に不可欠な試験・開発の文化。
  • コミュニケーションの実践 – 顧客の声に対して迅速なフォローアップを行う力。

2. 産業構造の変革に伴う自動化およびAI/MLの着実な進化

自動化および人工知能/機械学習(AI/ML)の基盤が構築され、アーリーアダプター層は収入・利益の面ですでに前向きな成果を見出しています。IDC社のレポートによると、自宅や職場を問わず、2018年には雇用者の75%が少なくとも1つのAI/ML搭載アプリケーション(Siri、Alexa、Slack/Skypeなどのチャットボット等)を使用していることがわかっています。2019年には、こうしたAI/MLとのインタラクションはインテリジェントデジタルアシスタントという形へと進化すると考えられています。IDC社はまた、これが業界全体で採用されるメインストリームになりつつあり、2022年にはその支出額が776億ドル相当に及ぶと予測しています。

各業界で使用される3つのAI/ML:

  • ロボット:小売/接客分野AI搭載アシスタントを活用した接客の実用化に向け、世界中に試験導入されたソフトバンクのヒューマノイドロボット、ペッパー。試験稼働中、ペッパーは販売店の案内役やホテルのチェックインアシスタンなど幅広い場面で活躍。パロアルトにあるテクノロジー系の店舗は、ペッパーが店内にいた週の客足が70%も増加したと報告しています。2019年には、Amazonが同社独自のロボットで、Alexaの進化版となる「ベスタ」を発売する予定です。
  • 予測分析:製造/サプライチェーン、医薬/ヘルスケア、ファッション/美容20万人の患者と460億のデータポイントをもとに、患者の死亡確率を予測する試みに取り組んだGoogle。その結果、何と95%の確率で死亡時期を判定できることが明らかになりました。また大手化粧品ブランドの資生堂は、MLを使って顧客が次回購入したい商品を推定することで、一人ひとりのニーズに対応したパーソナライズ商品を提供。製造・サプライチェーンにおいて、予測分析がもたらす可能性は計り知れません。需要予測、価格設定、メンテナンス・アフターサービスの最適化といった分野に新たな機会をもたらすこの技術は、2020年までに90億ドル規模になる見通しです。
  • コグニティブインテリジェンス:エネルギー/鉱山業シームレスな自律操作を確保し、ポートスケジュール、輸送、穿孔、プランニングにおける推測を最小限に抑える上でこれらの業界が採用しているのが、コグニティブコンピューティングです。マシンオペレーターが飛行機のコックピットのようなプラットフォームで、行動を学習し、リアルタイムのフィードバックを提供するシステムから指示を受け取ります。

3. あらゆる業界に浸透するクラウドの威力

2019年には2,000億ドルの支出額が見込まれるグローバルパブリッククラウド。そんな中、企業はプロセスのアップグレードや、大量の蓄積データを活用したインサイトマイニングに躍起になっています。Forrester社は、魅力あふれる商品や顧客体験の実現に企業が尽力する中、クラウドコンピューティングこそが未来のエンタープライズアプリケーションの基盤になると述べています。

クラウドのトップトレンド:

  • ハイブリッド/マルチクラウドソリューション。企業は、パブリッククラウドとプライベートクラウドを融合した導入が最適なソリューションだということを認識しつつあり、現在、企業の85%が少なくとも8種類のクラウドを組み合わせて利用しています。
  • IaaSPaaSの統合。2019年に395億ドルにまで達すると予想されるインフラストラクチャーアズアサービス(Iaas)の成長は、エンタープライズデジタル変革の取り組みによる必然的な結果と言えます。ところが、Iaasのみの利用パターンはそう長くは続かず、Iaasを購入予定の組織の90%が2022年までにプラットフォームアズアサービス(PaaS)との統合をプロバイダーに期待していることがGartner社の調査から分かっています。
  • 量子コンピューティング。世界最速のスーパーコンピュータを凌駕する、トップレベルの量子プラットフォームの実現に向けた競合が繰り広げられる昨今。金融、自動車、製薬、ゲームの各業界、さらには政府関連機関までもがこの技術に秘められた可能性に高い関心を寄せています。これまでIBM、Google、Microsoftなどの大手企業が開発競争に乗り出しています。

4. 音声検索/コマースの時代

BaiduやGoogleでAIプロジェクトを率いてきたアンドリュー・ウ氏は、2020年までに、全検索の50%以上が音声を介したものになると予想しています。同氏はまた、特に16~44歳の年齢層では、画像ではなく音声検索が携帯電話での使用において急速に勢いを増すと述べています。さらに、GlobalWebIndex社が発表した音声検索に関するレポートから、インターネット利用者の34%が音声操作が可能なスマートアシスタントを購入したいと考えていることが明らかになっています。

市場におけるボイスコマースの影響:

  • SEOGoogleが2013年に実施したハミングバードアップデートにより、コンテキストや意図/意味、自然な言語を重視した検索結果が提供されるようになりました。これは、当然とも言える音声検索の台頭に対応する基盤であり、ターゲット層による音声検索の使用目的をマーケティング担当者が調査し、音声広告戦略およびコンテンツをそれに応じて適応させることが重要です。
  • ハイパーローカルコンテンツ。音声検索のほとんどは携帯電話で行われます。つまり、検索している人は外出中で、どこか近くの場所に行こうとしているわけです。ハイパーローカルコンテンツでは検索時に近隣の店を教えてくれるため、地元の企業・店舗はこれによって認知度を高めることができます。
  • 顧客体験。2019年までに米国家庭の半数近くがスマートスピーカーを利用すると見込まれています。こういったAI搭載のソリューションは学習能力を備えており(またコマンドに絶えず応答するため)、顧客体験はより洗練された、便利で楽しいものとなります。現時点では、消費者の70%が主に音楽を聴くため、64%が天気予報を聞くため、53%がその時に思い付いた質問の回答を得るためにスマートスピーカーを利用しています。

5. コンテンツの王様、「動画」

動画ほど、企業や消費者を問わずあらゆるユーザーが積極的に消費するコンテンツは他にはないでしょう。2019年までに、世界中のインターネットトラフィックの80%を動画が占めると言われているほどです。これは、パブリッシャーを中心とする組織が、Facebookの動画広告の指標の影響から「動画への転向」を打ち出したことを背景に、過去数年間で最も物議を醸すトレンドのひとつとなっています。そんなスキャンダルはさておき、動画はブランドがストーリーを語ることで消費者にアプローチできる特殊な手段であることが証明されており、それを裏付けるように、マーケティング担当者の実に93%がキャンペーンの向上に動画を使用しています。

数字で見る動画の有効性:

  • マーケティング担当者の52%が、ブランドの知名度を構築する上で動画が最も大きな影響力を握ると回答。
  • グローバルマーケティング担当者の51%が、数あるコンテンツの中で動画がROIを最大化させるのに最適だと回答。
  • マーケティング担当者の報告によると、動画を利用しないユーザーと比べて、動画を利用するユーザーでは49%収益が急増

これでもう、お分かりですね。ここでご紹介したのは、2019年に注目に価値すべき顧客体験に関するトレンドの5つにすぎません。新年は、企業にとっても心機一転を図る絶好のチャンス。新しい技術がもたらすさまざまな機会を活かして、何か新しいことに挑戦する時期を迎えているのかもしれません。アルバート・アインシュタインが残した有名な格言にあるように、「違う結果が出ることを望みながら、同じことを何度も何度も繰り返すことは狂気」なのです。

 

※本記事の内容は2018年12月21日更新の英語版ブログ記事の訳です。

5 Customer Experience Trends to Watch Out For in 2019

著者:May Arevalo Marketing Specialist

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